現代の女性が抱える問題 その1


今、妊娠5ヶ月にしてこれまで考えてもみなかったようなことに目を向け、思いを寄せる
色楽さん(ハンドル名)という読者の方からのご質問をご一緒に考えてみたいと思います。



世界的に先進国においては晩婚、非婚、少子化が問題になっていますが、

ニュース等を見ているとイタリアも日本並みに同じ問題を抱えているようですが。
日本では未婚、既婚とも働く女性が過労死又は、うつ病にかかるケースが
男女雇用均等法以降、急激に進んでいます。
私も働く女性の一人として、女性の社会進出は大賛成ですが、現在起こっている
様々な問題を見ると・・・・。
日本では女性の社会進出により、出産をしない女性が増え、子宮系の病気や
乳癌が急増、時間のないお母さんが重宝する加工食品による子供のアレルギー、
(どれも原因は一概には言えませんが)
 
私が知る範囲のイタリアの家庭は、お母さんが働いていても日本とは
少し違うような気がします。お母さんが作った料理を家族でゆっくり楽しむ!
そんな風景は今の日本には稀です。
私が知らないだけでやはり、イタリアにも日本と近い部分がありますか?
過労死やうつ病、様々な婦人科系疾患、子供のアレルギーが広まっていませんか? 

 

というご質問(抜粋)ですが、同じような考えをお持ちの方が多いのではないしょうか。

私はこちらで住むようになって人生を2度体験しているような感じがすることがあります。

住み始めたころは日本に比べて少なくとも20年くらいの時間の差を感じました。
町のたたずまい、お店のショーウンドウ、子供たちの遊び、家事全般 などにおいて
自分が小さかったころに戻ったような気がしました。

それがこの約20年で町にはショッピングセンターが立ち並び、アウトレットという小さな町のような
空間が出現し、大型スーパーなんかが無かったのがうそのよう。

子供の遊びに関してはプレイとかニンテとかの出現が全世界の子供たちの
魂を奪ってしまったのですが、まだしっかりボールを蹴飛ばしている子もいます。

でも、家事もどんどん変化してきているようです。

子供の出生率が年々低下し、確か北部では人家庭あたり平均の子供の数が
一人を割ったのではなかったかと思います。
ただ、南部では今でも子供はたくさんいたほうがいいという感覚なので、
イタリア全体の平均は一人を上回ります。

ここ数年、出生率が上がったといわれていますが、それはこの国に住み着いた
外国人の出産率の増加が数字に出ているに過ぎません。
イタリア人自身の出産率そのものが上がっているわけではないのです。

さて、私自身、息子が小さいときに働かざるを得ませんでした。
私の母親が不在がちだった時期があったので、自分は母親になったら決して働くまい、
そういう環境が整うまで子供はつくるまい、と決めていましたが物事なかなか思うようには参りません。

主人の会社が湾岸戦争で傾き、たまたま手に職を持つというか、多くの人が
望んでも得られないような仕事を持っていたために、その仕事に戻ることになったのです。

かわいい盛りの子供を他人に預けて働きに出るのは本当につらいことです。
でも、寝食にかかわるような場合に手をこまねいているわけに もいかず、
主人の叔母に朝早く息子を預け、ローマへと働きに行きました。

主人の叔母は中学校の事務室に勤めていたので、夏休みの間は問題なく看てくれました。
でも、学校が始まればそうはいかないのですから何とかしなくてはなりません。

たまたま上の階に住む奥さんで、お子さんを二人お持ちの方が預かってくださるというので
普通の店員さんの月給に当たるくらいの謝礼を払ってみてもらいました。

その後、引越しに伴い若いお嬢さんに来てもらったり、私立の保育所に連れて行ったり、
その保育所派遣のベビーシッターに来てもらったり、日本から人づてに来てもらったり、
2歳から5歳半まで、息子にはかわいそうなことをしたと思います。

私の場合は仕事が特殊なために時間帯が決まっていないのでこうして個人的に
見てくれる人を探す必要がありました。

会社員や学校の先生などでしたら決まった時間帯なので、保育所に預けたり、
妹姉・祖母・叔母・いとこなど 親戚家族を総動員してやりくりしている人たちがいますが、
朝の6時に家を出なければいけないときがある私のような職業では
やがて住み込みの方に頼まなければならなくなりました。

そうなると国籍など問題ではありません。
エチオピア・ソマリア・ポーランド・日本から来たお嬢さん方に住み込んでもらいました。

ポーランドからのお嬢さんはまだ高校を終えたばかりで、ローマには親戚がいるけれど、
うちはちょっと田舎なので決めかねていたときに、4歳にも満たない息子が
「あなたが着てくれないとぼくはひとりになっちゃうんだ。」と言って口説いてきてもらったのでした。

幸か不幸かポーランドからのお嬢さんは給与を全部貯金して大学に戻って
警部になるのだといって帰国なさったし、日本人のお嬢さんも日本が恋しくなって
いなくなってしまい、主人が抱えた借金も何とか返済にこぎつけたので、
これ幸いに私は仕事をやめたのでした。

 

それ以来、母親専業を務めていますが、学校の行事があるときにいってみると
一クラスにほんの2,3人のお母さんしかやってきません。
つまり、大部分のお母さんがこんな田舎でも働いていると言うことですね。

さっきも言ったようにここのような田舎では親戚がそばに住んでいるので助け合って
やりくりをしている人が多いですが、そうでないと生後数ヶ月から預かってくれる
保育所があるのでそういうところに預けているようです。

このあたりの女性の働く場所と言ったら学校の先生をするか、工場へ努めるか
その工場の清掃をするかというのが大部分で、あとはお店を経営している方など。

学校や官庁ならほとんど午後1時で終わりますから子供にも寂しい思いをさせることはないでしょう。
工場の場合は3交代勤務などがありますが、会社と話し合えば相談に乗ってくれるようです。

このあたりの働く女性の現状はこういうところですが、テレビのコマーシャルに即席のパスタや
トルタが出てきたりしているので、もっと忙しいお母さん方が都会には多いものと見受けられます。

とにかく普通の仕事なら土曜日曜はお休みのところがほとんどですから
お母さん方は週末にケーキやパスタを作ったり、家族とドライブをしたりしてすごします。

日本に比べると家族や親戚が近くに住んでいるので助け合えると言うこと、
ベビーシッターが手軽な料金で見つかるということ、
イタリア人は子供が大好きなので、たいていのベビーシッターに信頼が置けるということ、
女性の仕事の多くがまだパートタイマー的であることなどから、
日本ほど事は深刻化していないかもしれませんが、

かつては20年ほど遅れて日本で見た現象がここで繰り返されたいたのに
最近は10年、5年とその幅が狭まってきているので、
もしかしたら近い将来また私がメルマガで訴えることになるかもしれません。

 

婦人科系疾患に関してはこちらの女性は案外積極的に検診を受けるので
未然に防いでいると言っていいかと思われます。

子供のアレルギーはうちの息子が生まれたころ、今から13年前は人に説明するのに
骨が折れたものですが、今や50%以上がアレルギーだそうです。

原因は複雑に絡み合っているでしょうからなんともいえませんが、
ご指摘の加工食品が要因のひとつであることに間違いはないでしょうね。
昨年トマトを無農薬で作ったときに実感しましたし、小児科の先生から何度も
「あまり買ったお菓子は与えないように。」と言われました。

また、喘息などは精神的な面と直結しているようですから、本当に一概には言えません。


家族それぞれが本来の役割を果たしてお互いを尊重して生きていくのが一番だと思います。

女性でも男性に勝るような体力や気力のある方はその才を伸ばしていけばいいと思いますが、
制度として制定する必要があるのかどうか疑問です。

何でも決め付けてしまわないで、選べる自由をもつ社会を創っていけばいいのではないでしょうか?

 

家族が私の作ったものを「おいしい!」と言って食べてくれるとき、
かつて仕事をしていたころにお客様から「すばらしい!」と言われたのと同じ喜びを味わいます。
きれいな花が咲いてくれたときには、お給料をいただいたときのような充実感があります。(笑)

少し見方を変えると幸せがぐっと近づくのではないでしょうか。
ご質問いただいた色楽さんは、きっとそのあたりに気が付かれたんだと思います。
健康な赤ちゃんがやってくるように心からお祈りいたします。

                      Keiko

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