PONZAの海

Ponza港  Ponza港
ご存知のようにイタリアは地中海に張り出した半島で、周囲を海に囲まれている。
しかも美しい海に。
一部アドリア海北部、ヴェネツィアのあたりは水がよどみ赤潮が発生するが、
後はきれいなものだ。
南端はイオニア海である。
延々何キロも砂浜の続くところも多い。
だが、水のきれいなところというと岩場に限る。

写真はローマから一番近い島、PONZA(ポンツァ:Latina県)。
小さい島だがローマ時代から知られ、貴人の避暑地になったり、
すぐ隣のより小さい島は囚人を幽閉するのに使われた。

この島の問題は水がないこと。
本島から大きなタンカーで水を運んでいるが、
海が荒れると届かなくなってしまう。

飲み水は普段からミネラルウォーターを常用するイタリアだが、
いわゆる生活用水がないのだ。

ところが、ローマ時代には地下水道があり、
島のあちこちに水を運んでいた。
ちなみにイタリアで一番古いダムもこの島に建設されている
(1200年代の終わり)。

大きな魚の養殖場もいくつかある。
硬い岩を何を使って、しかも水面下でどのように切り開いたのか。
きちっとした長方形で、まるで現代のプールのよう。
そしてそれらを地下水道が結んでいるのだから驚く。

冬場、空気の澄んでいる日には、
我が家のそばの山から見えるほど近いのに、
10年ほど前まではあまり人はPonzaへ行かなかった。

岩礁

父子 島へは小さな古いフェリーに2時間近く揺られて
いくしかなかったからだ。
それが近年、大型フェリーやカタマラーノ(双頭船)、
フォーバークラフトなどが就航するようになり、
多くの人でにぎわうようになってしまった。

このように残念そうに書いたのは、
正直残念なことだからだ。
われわれ泳ぐことが好きな人間には、
天国のようなところだったのに、
猫もしゃくしも繰り出すようになり、
そういう人達の需要に合わせて
狭い岩場にビーチパラソルが並ぶようになったからだ。

Ponzaには小さな砂浜が2,3箇所しかない。
しかもそれらの砂浜へは船で行くしかないのだ。
他に傾斜が急で、大きな石がごろごろする浜は
あるけれど、後は全部岩場なのだ。
Keikoボートを運転 小船を借りて島の周りを回って、
気に入ったところで海に飛び込んだり、
岩場にボートをつけて一休みする。

バスタオルを敷いても岩肌がごつごつしているので、
自分の体を岩の形状に合わせるようにして、
しばし日光浴。

他の人達も同じように小船で回っているので、
先客のいる岩場は避けて
自分たちだけの岩礁を求めてさまよう。

中にはボートを操るのが苦手で、助けを求めて
わざと人のいるところに来る人もいるが・・・

とにかく、耳障りな話声もなく、ただ波の打ち砕ける音だけを聞いて、
じりじりと太陽に焼かれて、暑くてたまらなくなると海へどぼんっ。


うにがたくさんいるので、岩場に戻るときには注意が必要。
でも、水中眼鏡で覗いただけで、たくさんの魚が行きかうのが見える。

砂浜は泳ぐ前に歩き疲れてしまう。
小魚が時々いるけれど、岩場の魚のようにきれいじゃない。

小さい子供をつれていると、砂遊びのために砂浜へ行くことが多いけれど、
泳ぐならやっぱり岩場だと私は思う。
Paolo 陽介とボート

Ponzaにはまたとびきりの思い出がある。
親しくなったスキューバダイヴィングの先生とその彼女と4人で夕食に行った後、
海辺へ降りてみようと言うことになり、300段あまりの岩を削った階段をおり、水際にたどり着いた。

Paoloも私も魚の生まれ変わりかもしれない。
水を見ると泳ぎたくなる。

何の準備もしていなかったけれど、ただでさえ人の少ないところで、
夕食後300段あまりの階段をわざわざ降りてくる人は誰もいないし、
月明かりだけで真っ暗なのをいいことに裸で泳ぐことにした。

なんと水にはいるとプランクトンが体中にくっついて
体中がきらきら光って見えた。
一瞬人魚にでもなったような気分だ。

後の二人はとうとう水に入ることはなかった。
イタリア人は食事のあと3時間ほどは水に入らない人が多い。
毎年、ひと夏に何度も行っていたPonza。
ここ数年ご無沙汰している。
今も人出が多いのだろうか。
バカンスシーズンが終わった頃に行ってみようかな。

               Keiko

 

 

この写真はPonzaではなく、いつもいく Sabaudia の砂浜です。
しかも10年ほど昔の写真です。

影

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