ヒーローになったシェフ


 

すばらしいローマ人をご紹介します。

今年の「イタリア料理の最高シェフ」という賞を受賞間違いなしの方。

Emanuele Lattanzi

彼はインドのムンバイにあるオべロイホテルのイタリアンレストランのシェフです。

そう、あのテロ事件があったところで働いているのです。

 

事件が起こったとき、奥さんとわずか6カ月のおじょうちゃんがほかのかたがたとともにとらわれの身になりました。

直接銃を向けられているのではなく、運良くテロリストに知られないところに身を隠していたのです。

でも逃げ出すのはとても危険なことで、息を殺してじっとしていました。

6ヶ月の赤ちゃんが大声で泣き出さないか、とても心配でした。

Emanueleは頻繁に電話をして奥さんを励まし続けていたのですが、

ついにおじょうちゃんに飲ませる粉ミルクが底をついてしまったのです。

 

それを聞いた彼は意を決して、二つの哺乳瓶をポケットに、警察を説得してホテルの中に入っていきました。

勝手知ったるところなのと、彼の行動がすばやかったのでテロリストに気付かれることなく

なんと、おじょうちゃんと奥さん、一緒の部屋にいたタイの人たちをつれて脱出に成功したのです!

おじょうちゃんを抱いた彼の姿が大きく報道されました。

 

今や彼はエロイ(eroi)つまりヒーローです。

誰もが彼の勇気と行動力を褒め称えています。

しかも、しばらくローマで休養した後は、

事件があったところへ戻って以前と同じように仕事を続けるということです。

 

彼は事件の最中に、イタリア領事館のメンバーが一緒に、懸命に助けてくれたことに感謝しています。

歩道で立ち尽くし、電話をし続け、交代でほんの少し近くのインド航空のソファで転寝をしていたといいます。

ローマで何か起きたら日本大使館のメンバーは同じようにしてくれるかなぁ?(笑)

 

彼はシェフとしてももちろん第一人者で、だからこそインド一のホテルでシェフを勤めているのですが、

さらにすばらしい家族への愛情を見せてくれたこと、

テロという卑怯な行為への怒りを代弁してくれたことなどで、今年一番の人気シェフにほぼ決定です。

 

ちなみに彼の得意な、かのホテルで評判の料理は、

pappardelle all’agnello e carciofini al pecorino romano

パッパルデッレはフェトチーネの倍くらいの太さの卵いりパスタです。

そのパスタの、子羊のソース。

そしてカルチョーフィー=アーティチョークのローマ風羊のチーズがけだそうです。

 

いやなことは早く忘れてこれからも家族仲良く幸せに暮らしていただきたいですね。

 

18/12/2008  Keiko

2009年1月17日、めでたく今年の「イタリア料理の最高シェフ」という賞を受賞なさいました。

おめでとう!エマヌエレ!

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