ジプシーに気をつけて:その2
『ジプシーに気をつけて』は、久しぶりにたくさんの反響を頂きました。 とても難しい話題で、私のペンのいたらなさもあり、現状をうまく説明できなかった点もありますが、 でも、購読者の方で、ローマにおすまいのSさんから、私が書かなかった これまでならお詫びと訂正、とするところですが、今回は追記としましょう。 人は立場によって、あるいはその日の気分によっても 私自身、アジア・アフリカ・南米諸国の人たちに混じって 黒人に追突されたこともありますが、修理費も何も要求しませんでした。 ですから彼らを敵視するつもりは毛頭ありません。 でも、ガイド時代に自分の同郷の日本人が彼らの被害にあったり、 日本にも外国人が増えてきたそうで、それに付随していろんな問題が出てきているとききました。 そうして、自分の体と持ち物は自分で守るんだという意識が強まれば では、以下はSさんからのメールです。 ******************************************************** >真面目に仕事を探して働いている人も中にはいます。
>ただそういう人達もイタリア人から仕事を奪っているのは事実です。 ある種の仕事、特に土木関係や危険な仕事、力仕事、メイドなどは外国人が目立ちます。
第3国から移民してきた外国人にとっては仕事の選択の余地はなく、
イタリア人がやりたがらない仕事を請け負っているといううのが実状で、
イタリア人から仕事を奪っているというのは、少し状況が違うのではないかなと思います。
イタリアでは移民外国人のホワイトカラーはほとんど目にかかることはありません。
(私にはソマリア人の銀行員の知人がいますが、とても稀な例だと思います)。
滞在許可書がないから、と法外な低賃金で重労働を強いられたり、仕事中に事故にあっても
一切保障がないなどの、ひどい条件で仕事をしている人も多数います
それなら、わざわざイタリアに来ることはないと思われるかもしれませんが、
おそらく自国での生活は平和な状況下で生活をしている私たちには想像もできない
過酷なものであることが多いのです。
>税金も払わないで小さなアパートに重なるようにして寝泊りする人達には
>高い家賃の心配もイタリア人ほどではないでしょう。 ローマでは移民外国人にとって、住まいを探すのは至難の業です。
家がみつかったとしても、仕事場から何時間もかかるところだったり、
やっと借りることができたとしても、大抵は同国籍同士の大人数での共同生活で、
ベッドと共同のキッチン、バス、トイレで1ヶ月に1人300-400ユーロも要求されます。
彼らの給料からこの家賃を支払うのは大変なことですが、
住まいの見つからないことを逆手にとった、イタリア人大家が大金を要求するのです。
100平米のアパートを10人に貸せば、1ヶ月楽々3000-4000ユーロの家賃が入ってきます。
多くの場合、契約書などもないので大家は税金も払いません。
しかも気が変われば、すぐにでも追い出すことができます。
同じアパートをイタリア人に貸すとしたら、最高での2000ユーロでしょう。
税金を払ったら、実際に手に入るのは1200ユーロ程度です。
こんな風に立場の弱い外国人を利用して、懐を肥やしている人も沢山いるのです。
イタリア人の主人が弁護士をしており、クライアントの一人に、貴族の裕福な高齢の女性(未婚)がいるのですが、
彼女はこんな外国人を守るために、費用を立て替えて多くの裁判を起こしています。
勿論、秘密厳守なので詳しいことは話してもらえませんが、イタリアでの生活は彼らにとってはとても厳しいことには変わりありません。
文化、宗教、習慣の違い、未知のものに対して少なからず恐怖感を抱くのはごく普通のことだと思います。
ここで扉を閉ざしてしまうのか、興味を持って理解しようとするのかにより、自然と外国人に接する態度の分かれ目になると思います。
私も外国人として生活していますが、日本人はAクラス、アフリカ人はBクラスとクラス訳をするイタリア人も少なくありません。
これにはどうしても我慢がなりません。
昔、警察の外国人事務所で、黒人を足蹴にあつかうオフィサーと言い合いをしたこともあります。
******************************************************************** 以上です。 Sさん、どうもありがとうございました。 ただ、私が仕事と書いたのは、あくまでも土木作業や農業や清掃といった移民が接している仕事のことです。 イタリア人がそういう仕事を嫌って、しなくなりつつあるのは仰せの通りですが、 また、貴族の裕福な独身女性のお話はまるで映画のようで日本の皆さんは驚かれることでしょう。 制度的には存在しなくなった貴族たち。 またそういう話題を取り上げる機会もあることでしょう。 ジプシーについてもTV番組についても、1回きりで終わりではありません。 私のイタリアでの生活が続く限り、同じような話題を何度も取り上げると思います。 なるべく私観を挟まずに書きたいのですが、なかなかそうは行きません。 『イタリアからボンジョルノ』は、私という色めがねを通してみたイタリア観です。
Keiko |