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日本では車を運転をしたことがなかったのですが、同乗していても検問に引っかかったという記憶はありません。 つまり、日本では何事かが起きない限り、または何か違反をしない限り警官が車を止めることはありませんね? ところが、イタリアでは検問は日常茶飯事です。 Paoloとの生活が始まって車で動くようになったとたん、そのことに気づかされました。 先ず、車を止めたとたんに検査するのが損保の有効期限です。 矢印の先に白っぽい紙切れが見えると思いますが(実は薄い黄色)、これが各車に備え付けの証書です。 もし、この損保の証書が有効のものでないと、即座に車を差し押さえられてしまいます。 その隣の同じサイズのグレーのものはかつて車両所有の税金を納めた領収書を入れるスペースだったのですが、 最近はインターネットを始め、タバコ屋さんや宝くじ売り場やいろいろな場所で支払うことができるようになり、 その分領収書も統一が取れていないことと、役所関係の書類が自己申告に取って代わったというような 時代の流れなのでしょうか最近は誰もそこに領収書を入れるようなことはなくなりました。 でも、損保会社やガソリンスタンドで配布してくれる証書入れにはまだその部分がくっついているのです。 さらにその横の少し小さめのグレーのものはテレパスという高速道路の自動通過用の発信機です。 つまり、運転手が免許証や、車の車検証などを準備しているわずかの間に警官はこの証書を検査しているのです。 道を尋ねるためにたまたま近くにいる警官に声をかけても、 彼らは道を教えながらも視線はこの証書の方へおくっています。 さて、免許証と車検証に不備がなければ、警官は車のナンバーと運転者の名前などを記帳して 「とばさないように。」などという一言と共に開放してくれます。 ただ、同乗者にも身分証明の提示を求めることがあり、日本にいた頃は免許も持たず、 地下鉄の定期券ぐらいしか身に着けていなかった私はパスポートや滞在許可証のような 大切な書類を落としたり取られたりしては大変だと思い家においていたので、 初めての検問で身分証明書の提示を求められたときには何も見せるものがなく、 たまたま住まいの近くだったので、「うちまで来てくれればお見せします」と言ったらそのまま放してくれましたが、 それ以降は何がしかを持って歩くようになりました。 何も悪いことをしていないのに、警官にいろいろ尋問されたりするのはあまりいい感じのすることではなく、 検問にあうたびにつむじを曲げていた私も、今となってはそういう検問で不法侵入者や麻薬の運び屋や 盗難車を発見したり、時には事件の被害者などを救済するような事例があり、 仕方のないことというか、我慢しなければならないことだなぁと思います。
ただ、あくまでも生きた人間のすることなので、そのときに接する警官の感じでイメージは大いに違ってきます。 そもそも、イタリアには国家警察カラビニエーリの下に、(うーん、下というと語弊があるのかもしれません。) カラビニエーリとは別に、ポリツィア(ポリス)がいて、 その下に(ここははっきりと下といっても誰も文句はないと思います。) ヴィジリ・ウルバーニ(交通取締り専用の警官)がいて、最近新たにプロヴィンチャーレという,県の警察官ができて、 それ以外に麻薬や抜け荷?ちと旧いかな・・ いわゆる税や債務に関する警察、グァルディア・ディ・フィナンツィアという人たちまでいて、 たくさんの制服を着た警官がいます。 カラビニエーリの中には戦地に赴き、毎日を生死のはざまで過ごしている方々もおられますし、 グァルディア・ディ・フィナンツィアのかたたちも、密輸商品だけでなく、 密入国をする人たちに目を光らせたりして、結構危険に身をさらしている方たちも少なくないのですが、 たまたま配属されたのが、我が家の近くのようなのどかなところだったりすると もう、退屈でしょうがないのではないかと思います。
そこで、時たま交差点や時にはカーブの途中にいて、走ってくる車を止めて検問をするのです。 カーブの途中といいましたが、いちどGenovaで、高速道路のトンネルの出口がカーブになっているところで 検問をしていて、危うく事故を起こしかねないようなことがありました。 びっくりして、動悸が高まった私はカラビニエーリに食って掛かったので、 それこそ私よりもさらに驚いたカラビニエーリは「罰金はありませんから」といっていました。
さて、我が家の近くの検問はいたってのどかです。 いちど停められたときに、「お誕生日おめでとう!」といわれ、はて?知り合いかと思ったら 免許に生年月日が書いてあるのを見て、おめでとうと言ってくれたのでした。 あるいは、妊娠中にシートベルトとをしていなかった私に(しないでいいという許可があります) 「失礼しました。おめでとう!」と送り出してくれたり、 そういう人間味あふれる、愛すべき警官がいるのです。 そういう人達だとわかっていたら、とめられなくてもこちらから止まって二言三言 おしゃべりをしたいくらいなのですが、 中にはどうしようもない(われわれ運転をする側からは)警官達もいて、 一度停められたときに、その理由が停止ランプが故障しているというものだったのですが、 そのランプはちゃんと作動していたのです。 夕方の日差しの具合で良く見えなかったようなのですが、何よりも新しいコンピューターで 違反の切符を切りたかったらしくて、私が「ちゃんと点いてますけど・・」というと その切符のキャンセルの仕方がわからなくてあせっていました。
これは、イタリアだけのことではないでしょう。 どこの国にも、職務に忠実なそして豊富な経験をつんだ方がいるかと思えば 経験も浅く、人間としての常識も持ち合わせていない人達がいるものです。 そういう人に出会った日は、Giornataccia! (ジョルナタッチャ=ついてない日) といってあきらめるのがイタリア人です。
予断ですが、いくつか車を乗り換えた私の経験から、赤い車はやはり人目を惹くというか、 警官にも良く止められます。 真っ赤なオペル・コルサに乗っていたときはしょっちゅう止められたものですが、 シルバーグレイのワーゲン・ポーロに乗っていたときは4年間で1度か2度だけでした。 そう思って今回も新車の色をシルバーグレイにしたのですが、 5月の11日に受け取ったばかりなのに、もう検問に引っかかってしまいました。 もしかして、このあたりではまだ珍しい日本車だったからでしょうか???
Keiko |