こんな涼しげな写真を真夏の暑い時にお送りすべきでした。(笑)
ここから水が流れ込んでいます。
表はこういう姿です。
これはとなり街の共同洗濯場です。
アペニン山脈から、毎日何トンものミネラルウォーターが流れ込んでいます。
写真でもお分かりのようにとてもきれいな水です。
昔の女性達はこういうところで毎日洗濯をしたのですね。
最初の写真を注意深くごらんいただくと、大理石のふちのところどころが磨り減っています。
何世紀にもわたって女性達が洗濯物を押し付けたりたたいたり・・・
それによって硬い大理石もこんなに磨り減ったしまったのです。
この近所の主婦達は毎日ここで何時間もかけて洗濯をしたことでしょう。
子どもの自慢話や、姑の悪口や、ていたらくな亭主の話などをしながら。
裏通りの広場で、編み物や刺繍をしながらの世間話にはお年寄り達も一緒なので
きっと言いたいことは言えなかったと思います。
ここでは洗濯物をおもいきりたたきながら憂さを晴らしたのではないでしょうか。
こういう場所が今もところどころに残っていますが、
ここのようにきれいに保存されているところは少ないです。
いえ、保存というのは間違っています。
ここでは今でも洗濯する人がいるのですから。
真冬に洗濯をしている人がいて驚いたことがあります。
もし彼女を見かけなかったらこの場所に入ってみることもなかったでしょう。
もちろん、今やどの家にも洗濯機が置かれているし、
イタリアの全自動洗濯機は評判がいいのですが、
やはり中には慣れた方法で洗濯する人がいるのです。
実際、昔ながらの固形の石鹸をこすりつけ、
力強い主婦の手でごしごし洗ったものにはどんな洗濯機もかないません。
水が流れ込むほうに回り込んでみましょう。
こちらはミネラルウォーターを汲むところ。
時間によっては列が出来ているほどです。
空き瓶を持ってきて、誰でも自由に汲んでかえります。
流れ続けている水は冷たくて、
夏場にこういう場所に出会ったらすぐさま車を止めて飲みに行きます。
反対側はご覧のように、馬に水を飲ませることができるようになっています。
そして左の小さな穴が洗濯場へと流れ出しているところですね。
何百年、場所によっては2千年以上も前のプロジェクトがいまだに立派にその用を果たしている。
そういう歴史の証人がいたるところに残っている。
これこそがイタリアの魅力なのでしょうね。
これからも消えないでいて欲しいと心から願います。