スーパーマーケット
イタリアに住み始めたころ、こんなに日本とのギャップを感じていたのに
まだここで皆様にご紹介するのを忘れていました。
それはスーパーマーケット。
イタリア語ではスーペル・メルカートとなります。
メルカートが市場。スーペルはさらに上級のといいましょうか、ラテン語です。
さらにその上がイーペル、余談でした。
便利さから見れば確かにそうなのかもしれませんね。
こちらの普通のお店は扱っている商品が限られていて、
普通の夕食の支度をするだけでも、八百屋さん、お肉屋さん、新鮮なパスタを扱うパスタやさん、
ワインやさん、パン屋さん、その他の食品雑貨屋さん、
と、こういったお店を順次まわらなければならないのです。
小さな町では徒歩でそれらの店を回ることもできますが、重い買い物袋を手に歩き回るのはつらいものがあります。
そして車で移動となると、ただでさえ駐車するのに困難なのに、
何軒もの店を回リ、そのつど駐車するスペースを見つけるのはのは面倒なものです。
そこで、大きな駐車場を構えたスーパーマーケットは格好の施設です。
ただ、私がイタリアに住み始めた1985年当時、
ローマの街中にはほとんどスーパーマーケットはありませんでした。
衣料品や、化粧品・雑貨類を扱うスーパーはあっても、食料品を扱っているところはまれでした。
スーパーマーケットと書かれている看板を目当てにたどっていくと
入り口はいかめしい古い住宅の入り口だったりしたものです。
そういうスーパーには当然駐車場もありません。
そして、徐々にローマの周辺に新しい住宅地ができ、
その中に日本でも見慣れたような形式のスーパーが誕生していきました。
それらが増殖するのにそんなに時間はかかりませんでした。
ただ、あくまでもローマの中心街を外れた住宅街にのみ、そういう施設は存在しました。
今でも、ローマの町の中、城壁で囲まれた中心部には、駐車場付きの大型スーパーはありません。
そんなものを造るスペースは2000年前からないのです。
さて、それではうちのような田舎の大型の駐車場を備えたスーパーはどんなかといいますと、
まず、小銭(今は1エウロ)を用意して、カートを手に入れます。
なぜ小銭が必要かといえば、使用済みのカートを元に戻す人がいなくて、
駐車場もスーパー内の通路もカーとであふれてしまうので、
コインをデポジットして、用が済めばそのコインが戻ってくるシステムなのです。
さて、中にはいっておそらく日本の方なら戸惑うのが野菜売場でしょう。
そこでは自分で量を測って、値段を書いたチケットを袋に貼り付けなければならないのです。
ディスカウントストアーへ行けばさらに戸惑うことに、
商品が陳列棚に並んでいなくて、その辺に箱ごと山積みされているので、
時に自分で箱や、梱包してあるビニールを破って送品を取り出さなくてはならないからです。
そうしてやっとレジにたどり着くと、やはり自分でレジの前に(多くはは長いベルトコンベアーになっています)
商品をかごから取り出して並べなければなりません。
それが済んだらすぐさまレジの先に進み、レジを通過した商品を手際よくビニール袋に自分で入れなければならないのです!
日本では、今のようなレジがない時代、ひとつずつ手で値段を打っていた時代でも、
レジの方が商品を袋に入れていってくれました。
いまやレジは機械の前に商品を当てるだけで、値段の計算ができます。
でも、レジの係りの人は商品を右から左へ移すだけで、すべては買い物をしたお客がしなければならないのです。
日本では、レジにくれば「いらっしゃいませ!」の声が聞こえます。
イタリアでは、隣のレジの同僚との雑談が聞こえます。(笑)
最近はカード支払いがこちらでも増えてきましたが、
以前は全部現金払いで、時として小銭が足りないときなどその分をガムやキャンデーで補ってくれたりしました。
お釣りがあっても、その小銭を投げてよこすので、ずいぶん腹がたったものです。
今日は、初期のころのスーパーマーケットを思い出して書きましたが、
最近、特に北部のスーパーがこのあたりにも進出してきていて、
(北部と南部の違いについて話さなければなりませんね)
そういうところへいくとなかなか親切で、気持ちよい買い物ができます。
袋に入れるのを手伝ってくれるときもあります。
それが義務ではなく好意から発する動作だけにとても気持ちのいいものです。
10月7日 Keiko