ローマの南部に隣接する町のひとつにMarino(マリーノ)というところがあります。
有名なカステッリ・ロマーニ (ローマ近郊の城塞都市)のひとつです。
今やローマの衛星都市として、毎日そこからローマへ通勤する人がたくさんいます。
ローマの喧騒を避けてそういうところへ移り住むのがもう30年ほど前からの現象です。
その町で、10月の最初の日曜日に Sagra dell'uva (ぶどう祭)が開かれます。
午前中は、1571年の「レパントの海戦」の戦勝記念のお祭りで、
マリア様を配した、日本風に言うと山車が出ます。
かなり有名なお祭りなのでご覧のように黒山の人だかりです。
町の楽団が演奏しながら山車と共に町を練り歩きます。
この地方のかつての民族衣装に身を包んだ若者たちも加わります。山車がたどり着くところはこのまちのドゥオーモ(それぞれの町で一番重要な教会をさす)。
やはり民族衣装を着けた子供が、全市民を代表してマリア様にぶどうとワインを捧げます。
でも、人々の本当の楽しみは、夕暮れ時に Fontana di Mori (黒人たちの噴水)という
噴水をはじめ、町中の噴水からワインが流れ出るときです。
そうなのです!
普段は水が流れる噴水からその日の夕暮れ時約1時間にわたって
本物のワインが流れ出し、もちろん普段お水を飲むように
誰でもそのワインを楽しむことができるのです。
このまちの領主だった Colonnna 家の当時の当主 Marcantonio を称え、
勝利に導いてくださったマリア様に献納をし、
最後には、まるでギリシャ神話のバッカスのお祭りのようになるのです。
また、このあたりはぶどうの宝庫で、
だからこそ白ワインの産出量イタリア一と言われるだけに、
たくさんのきれいな飾り付けを施した荷車から、
あるいは家々の窓やバルコニーから道行く人に
ぶどうが振舞われます。
本格的な Vendemia(ぶどうの収穫)を前に、そうして豊作を祈りつつ
その喜びを居合わせた人々と分かち合うのです。
Keiko
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