タイトル史的な話

 

Troy

 

サブタイトルをつけるに当たって今回は少し考えました。
というのも「トロイのもくば(あえてひらがなにしました)」
というあまりにも有名なコンピューターヴィールスが
存在するからです。

かのOmero(ホメロス)以来「トロイの戦争」もしくは
「トロイのもくば」として紹介されてきた有名な話なので、
最初は何のためらいもなく「トロイの木馬」としたのですが、
もしかして皆さんお使いのヴィールス駆除ソフトに
引っかかるといけないと思い、
単に「TROY」としました

イタリア語では 「Troia(トロイア)」 となりますが、これが又、ふだんは「身持ちの悪い女」
果ては 「売春婦」 という意味合いに使われているので、イタリア人が私のサイトを
見ることはないだろうとは 思いますが、昨今日本語ができるイタリア人も増えてきたので
トロイアも避けることにしました。

と、前置きが長くなりましたが、2週間ほど前に映画「TROY」を見た時に、
あれっと思ったところがあったので、皆さんに少しギリシャ神話を伝えたくなったのです。

お断りしておきますが、ギリシャ神話を特に勉強したわけではありません。
イタリアの普通の人が知っている程度の話ですので、詳しく知りたい方には不向きです。

 

ご存知のようにイタリアには世界のカトリックの総本山を抱えるヴァティカン市国があり、
国民の99%がカトリックの信者です。

でも、ちょうど日本に神道と仏教が仲良く共存しているように、
イタリアにもかつての繁栄していたローマ時代にギリシャから連れてきた
オリンポスの神々がいて、
キリスト教が国教になるまではそれぞれ好きな神様を、
あるいはたくさんの神々を祀り、あがめていたので、
今もそれらの神々の話は日常の生活に 密着しています。

ひとつ問題なのは、ギリシャからローマへつれてきたときに
ローマ風に 名前を変えてしまったので、日本の皆さんは、
おそらくギリシャ語から英訳された呼び方に
馴染んでおられると思うので、ちょっとややこしくなるかもしれませんが・・・。

 

なんといってもオリンポスの神々は、おおらかでわれわれ人間によく似ていて?
(われわれが彼らに似ているのかな?) 明るいイタリア人には肌が合うのです。


注:かつての繁栄していたローマ時代のローマ人は気まじめで、およそ今のイタリア人とは
  人種が違うのだ、生粋のローマ人は皆戦死してしまって今のイタリア人はかつての帝国内から
  つれてこられた、あるいはやってきた外国人の子孫ばかりだと言う説があります。

  優秀な指導者と、勤勉で知力に満ちたギリシャ人の奴隷や体力に物を言わせるドイツ人の
  兵士たちがたくさんいたとはいえ、大きな橋をわずか1週間で作り上げてしまったり、
  あの巨大なコロッセオを7,8年で完成させた人達と、

  何十年も前からシチリア島とイタリア半島に橋をかけるといいながら
  いまだ着工していなかったり、
  高速鉄道をミラノ〜ナポリ間に設置する工事はすでに10年以上もかかっていながらまだ
  完成しない状況をを見ると、今のイタリア人とが全く同じ人種とは思いがたい気もします。
  ですが、私は今の明るいイタリア人が好きです!

 

さて、話を映画「トロイ」に戻しますと、

 

映画ではとてもテンポが早く、(だからいいのですが、)Elena(エレナ)がトロイに着くなり
追っ手がやってきてすぐに戦争に突入し、数日または数週間で戦争が終わってしまった
ようですが、実はなんと10年も続いた戦争なんですね。

Achei(アケイ、ギリシャ側の都市の名、以降ギリシャとする)には、不死身と言われた
Achille(アキッレ=アキレス)がいて、ばったばったとトロイ兵をなぎ倒してしまう。

トロイのほうには王の息子Ettore(エットレ)が英雄として名高く、トロイの兵士たちも勇敢で、
又トロイの城壁は何人なりとも寄せ付けませんでした。

ちなみにエットレを演じたのはあのハルクを演じた俳優さん。
今回のほうがはまってたように思います。

それにしても10年もの長きにわたって戦争が続き、双方疲れきっています。
エレナの美貌もいささか衰えたのでは?と思うのはやっかみでしょうね。

特に、遠く祖国を離れ浜辺での兵舎暮らしに、ギリシャ側が辟易していたようです。
そこへ、Achilleが死んだという報が入り、戦意を失いかけていたのですが、
Ulisse(ウリッセ=オデュッセウス)が最後の策をめぐらせます。

アキッレの死に関しても、
Polissena(ポリッセーナ:映画ではアポロの神殿に使える巫女とされていましたが、実は王女)

が陰謀をめぐらして、アキッレに近づき、「不死身と言われるあなたにもどこかに弱点が

あるはずです。私がほしいならその秘密を明かしてください。」と持ちかけ、

アキッレから母親の女神Tetiが自分のように不死の体を得られるように聖なる水につけた時、

ただ1箇所足首をつかんでいたので、そこが水には触れず弱点として残ってしまったと
聞き出します。

それを兄弟のPallide(パッリデ)に告げ、アポロの神殿で結婚式を挙げようとアキッレを誘い出し、

そこで待ち受けていたパッリデが毒矢でアキッレの足首を貫きます。

映画ではポリッセーナが次第にアキッレに惹かれ、その死をひどく痛んでいましたが、

ギリシャ神話では、息絶え絶えのアキッレに兄弟の敵だと恨みの言葉を投げかけています。
 

さて、ウリッセの案に沿って、ギリシャ軍は皆様ご存知の大きな木馬を作り、
帰国の無事を祈るための神への贈り物だと言う文句を書いておき、
全軍が引き上げたように見せかけ、
馬のおなかの中に兵を隠しておいてトロイの住民が戦勝に酔いしれて寝静まったとき
馬から出て、門の内側から門を開けて全軍を引き入れるというものです。

この馬を最初にトロイの人達が見たとき、
映画ではPallideが、すぐにでも城壁の中に馬を引き入れようとする父王に、
策略の匂いがするからやめるようにと主張しますが、

神話では、ここにアポロの神殿の祭司Laocoonte(ラオコーンテ)がやってきて、
策謀に長けたウリッセの仕業に違いないと自分の持っていた矢で馬のおなかをついたりして、
真相を明かそうとするのですが、そこへギリシアびいきの女神Atena(アテーナ)が、
2匹の海蛇を送り出し、ラオコーンの二人の息子を殺そうとしたので、
駆けつけたラオコーンも一緒に 殺されてしまいます。

そのシーンが有名なヴァティカン博物館所蔵の彫刻になっています。


とまぁこんな具合で映画ではいろいろと切ったり張ったり
しています。
そうしないともちろん一定の時間内にしかも世界中の人達に、
分かりやすく伝えることはできないので・・・
私はこの映画楽しみました。

特にPallideの役をしていた俳優さん、「ロード・オブ・ザ’リング」で、
レゴラスという弓の名人をやってた人ですね、
Orlando Bloom(オーランド・ブルーム) 彼が大好きなので
(久々に美しめの男優さんがでましたね。)
今回は勇気に欠けるやさおとこでしたが、楽しかったです。

 

又、折に触れてあるいは少しずつギリシャ神話を私なりにご紹介してまいりましょう。

「ギリシャ神話」という分厚い本を読みかけて放り出してしまったかた、ご心配なく。
長い長い名前の羅列で始まる本は無理でも、神々ごとに話を区切って読んでいけば
やがてそれらがつながってきます。

「アポロとダフネ」や「プロセルビナの凌奪」など、有名な彫刻作品になっている
お話などがあって、知っていると美術の鑑賞にも役立ちますから。

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