昨日で学校は終わり、夏休みに入りました。
中学の時に比べると成績は落ちましたが、友達が増え、それなりに楽しい学生生活を送っているようです。
ただ、最後のほうになって、一度学校へ呼び出されました。
何事かと思うと息子がきていたTシャツの図柄が気に入らないという先生がいらしたのです。
黒いTシャツの真ん中に大きな頭蓋骨の絵があるものですが、
クリスマスに義妹がプレゼントしてくれたものです。
その先生いわく「頭蓋骨は死の象徴だからわたしに恐怖を与える」
宗教的な根拠はありません。
宗教の先生(しかも聖職者)をはじめほかのどの先生方も何も言われないのですから。
そのTシャツを贈ってくれた義妹は家族の中で一番熱心なカトリックの信者です。
ローマには「骸骨寺」と呼ばれる教会があり、死後の戒めのために頭蓋骨を初め
遺骨で作ったさまざまなものが展示されているほどです。
しかもそのTシャツの骸骨はおどろしいものではなく、きわめて健康的な? 骸骨です。(笑)
息子がそういうものを身につけ、
イタリア各地で頻繁に起こっている悪魔狩りだのというようなグループに属したり、
何か通常ではないことをしているならともかく、
優等生とはいえないまでも、品行も成績も極普通で、問題など起こしたこともないのに
ただ、自分の気にらないTシャツを着ているというだけで目くじらを立てるとは。
また、わたしの立場から言うと、もうひとつ気に入らないことは
初めて息子がそういうシャツを着たのをみて、(しかもほかにもそういう生徒はたくさんいます)
注意をして(根拠がなくても)、息子が注意を聞かないでくりかえすのなら
校長室へ呼び出したり、親に連絡を取るのもいいでしょうが、
直ちに校長室へ呼び出したということで、
教育=教えはぐくむという意味を考えたことがない方なのではないかと思いました。
息子いわく校長もなんと言っていいか戸惑っていたそうです。
とにかく、人に危害を加えたとか、学校のものを破損したとか、落第しそうな成績だとか
そういうことではなかったので、われわれもやり過ごしました。
息子には辛抱しろと励ましたくらいです。
そして最終日、息子は故意にそのTシャツを着て登校しました。
朝、教室でバイク用のジャンバーを脱いだとたんにクラスメートから拍手が沸き起こったそうです。
1,2時限目がまさしくその先生の授業だったのですから。
授業といってもこの1週間は授業らしきことはなにもしません。
期末試験も終わり、多くの人がすでにバカンスに繰り出すシーズンですから、
3ヶ月にわたる長い夏休みの前に最終日に少々羽目をはずすのは昔からのことです。
(息子には、羽目をはずす以上の意味があったでしょうが)
さて、その先生は予定の15分前に「時間だから」と教室を出て行かれたそうです。
数分後、息子はまたも校長室に呼ばれました。
今度は校長先生も2度目だということで怒ったそうです。それはわかります。
ただ今回も、校長室へはひとりで送られた。 (クラスメート全員が同席したかったそうですが)
その先生が同席し、自分の主張を息子の前で聞かせるのではなく、
ただ罰を与えるようにと言うだけのやり方がどうにも気にいりません。
そして、驚いたのはその日、その先生にとっては最後の授業だったのです。
定年になり、もう教壇にたつことはないのです。
何十年ものキャリアをそんな閉じ方をしていいのでしょうか・・・
人事といえど残念です。
彼女が教室を出て、ドアが閉まらないうちから生徒達は怒号を浴びせかけたということです。
それ以外の先生方とは3ヶ月会わないのだからと、それぞれ別れを惜しんだというのに。