タイトル

修学旅行

 

こちらにはとくに修学旅行という言葉はありません。
そうういう概念もありません。

なんといっても入学式もなければ卒業式だって、始業式、学園祭、開校記念日、運動会・・・
なぁんにもないところですから。

とにかく中学3年生のこの季節に3泊4日の学校主催の小旅行なのだから、私の感覚としては
修学旅行となるわけです。

ローマからヴェネツィアへ行きました。
正確には、ヴェネツィアの近くのChioggia(キオッジャ)というところに宿泊し、
ヴェネツィア終日観光をメインにパドヴァの町や、
イタリアで一番長い川、ポー川がアドリア海に注ぐあたりの見学など。

ヴェネツィアはイタリアのどこの町よりも物価が高いので、
きっと子供達の予算で泊まれる所が見つからないのでしょう。

自分の経験からも、ヴェネツィアで泊まるならかなり高級なホテルでないと、
安物のホテルではクーラーがなく、
運河で大量の蚊が発生するので窓も開けておられず、
バスタブに冷たい水をためて夜中に何度も浸かった位ですから、
それならいっそ近くの町の安普請でも近代的なホテルのほうが快適だと思います。


驚くのは、その修学旅行に行かない子供達がたくさんにいるということです。

昨年の同じ時期に2泊3日で旅行したときにはクラスの2/3強は参加したのに、
今回は21名中たったの7名。1/3ですね。

理由は私にはわかりません。

修学旅行!というような思い入れがないことが先ず一番でしょうが、
その間、行かない子供達は学校へ出てこなくてはならないんですよ。

ですから休みたいからではないということになりますね。

親の意見に従って、いかない子もいるようです。

昨今の交通事故だのホテルの火災だの地震や洪水騒ぎだの・・・
心配を始めればキリがありません。

すでにベネツィアを見たからという人もいるでしょうが、
家族での旅行と、学校主催の団体旅行とでは、学ぶことも、楽しみも全く違ってくるでしょう。

あるお母さんは、経済的な理由によるのではないかとおっしゃいましたが、
いまや全員最新型の携帯電話を子供達に持たせているのに
修学旅行の費用が捻出できないとは思えないのですが・・・。


うちの子は、数年前に家族で行ったときにベネツィアがいたく気に入り、
この旅行の発表があったとたんに参加を決めていましたし、
われわれも行くべきものだと思い込んでいました。

それが、復活祭休暇の初日に自転車で転倒して左手首を骨折して
ギブスをはめていたので、私は少し心配だったのですが、
本人はギブス付きでも行くといっていました。
運良く、出発の前日にギブスが取れて、軽い腕で出かけたのでした。

それぞれのクラスがこういう状態なので、観光バスも3クラスで1台という状況です。

担任の先生もついてきませんでした。
先生たちは留守中に登校する子供達の面倒も見なければならないので、
手分けして同行するのです。

いつも笑顔で同行してくださるのは校長先生です。
この中学の3年間で、彼女(校長先生)の存在がどんなにか
子供達をはじめ、われわれ親をも安堵させてくれたことでしょう。

いつも笑顔で、(繰り返すようですが、ほかの先生はそうではありません。)
話ははっきりと、静かな口調でなさいます。
週に3日、訪問受付時間を設けていつでも話ができるように配慮しておられました。

中学3年生の男の子の土産話はあっさりしたもので、
ここで皆様にご紹介できるようなエピソードはないのですが、
とにかくがんじがらめの窮屈な旅行だったようです。

今回は中のよい友達が誰も参加しなかったこともあって、
前回ほど楽しくはなかったようですが、
Chioggiaが小さなヴェネツィアといっていいくらいに素敵なところだという
印象を持って帰ってきました。

ついでながら私へのお土産は、ゴンドラの浮き彫りがついた小さな栓抜きでした。

              Keiko

この記事は5月10日ごろに書き初め、そのままになっていました。

すでに卒業試験も終わり、7月1日には、卒業証明書をもらって
9月から通う理数系の高校への入学手続きに行ってきました。

こちらの高校は文科系(主に言語を学ぶ)の高校と、
理数系の高校、さらにいくつかの職業訓練校にはっきり分かれています。

日本のような普通高校というのはありません。

9月の初旬に保護者立会いの下に抽選でクラスわけをするのだそうです。

また面白そうな話題をお届けできるかと今から楽しみです。