昨日6月14日の夜8時台のニュースで、今年も中学3年生の卒業試験が始まったと伝えていました。 毎年のことですが今年は自分の息子の番なので、ニュースもいささか気になりました。 でも別に目新しいことはなく、小児科のドクターらしき方がインタヴューに答えて、 「前日の夕食は軽くすること。揚げ物などを食べないこと。早く寝て、朝食をしっかりとること。」というアドヴァイスでした。 正直言って誰にも有益なアドヴァイスではなかったと思います。 筆記試験は三日間、初日の昨日はイタリア語(国語) でした。 学校ごとに決めた3つか4つのテーマのうち好きな題材を選んで作文を書くのです。 制限時間は4時間。でも書き終わったら2時間後には退出してよいということです。 今でこそ、みんなが携帯電話を持っているのでいつ退出しても問題はありませんが、 かつてはいつでてくるかわからないわが子をたくさんのお母さん方が学校の前で待っておられました。 今日2日目は数学の応用問題でした。明日は英語です。 そして来週の月曜日には口答の試験があり、技術なども含めた全科目の試験です。 でも、この試験は厳密に言うと全員が受けるわけではありません。 残念ながらすでに落第が決まっている子供たちは試験を受けさせてもらえません。 試験の点数さえよければいいというのではなく、これまでの3学年中の成績が一定の水準に満たないとか、 欠席数が極端に多いとか、素行や学習態度が悪かったりすると担当の教授陣が集まって話し合い、及第させるかどうか審議します。 すでにほとんどのイタリアの学校は6月の10日から夏休みに入っています。 ですから小学校1年から中学2年生まで、 そして高校の1年から4年生までの子供達は3ヶ月という長い夏休みの序編を楽しんでいるのです 。高校5年生にはかなり難しい卒業試験が約1ヵ月後に待っています。 でも、当の中学3年生が試験を前に必死で勉強していたかというと、前日になっても本も開きませんでした。 友達も同じようです。そしてこの試験で及第点が採れないと9月の初めに追試があるということです。 それでもだめな時には・・・もう一度中学3年生のやり直しです。昔はこれを潮に学校を辞めてしまう子供も多かったようです。 家計を助けるために、あるいは将来の夢をかなえるために働きはじめたのです。 最近はイタリアもだんだん学歴社会になってきました。 これまではなんといっても縁故の社会で、いい縁故がなければいかに立派な大学を出てもなかなか思う仕事には就けなかったようです。 その分学閥がないということになりますが。 かつての借家の大家さんは銀行に勤めていたのですが、自分の息子が大学を出たときに希望退職をしてそのポストを息子に譲りました。 でも、最近は狭い地域内で職を探すのではなく、 イタリア国内はもとよりヨーロッパ諸国や他の大陸へも職を見つける時代になりましたから、 どこでも通用する学歴が必要になってきたのでしょう。 そういえば少し前にラジオの番組で、イタリア南部の若者のほうが北部の若者より大学をでている人が多いということを聞きました。 しかも驚くなかれ北部山岳地帯では未だに文盲率が10数パーセントにも及ぶそうです。 南部にはマッチャンやカッチャンたち(やっちゃんのお友達です)がいて、地元では将来を望めないからかもしれません。 うーん、少し脱線してきました。これではテーマに沿った作文を書く試験では落とされてしまいそうです。 Keiko
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続編:PCのトラブルで皆様に発信できないでいる間に、息子は口答試験も終えてしまいました。 これは日本では考えられないタイプの試験かもしれません。 アルファベット順に4,5人ずつ試験が行われます。 息子のイタリアでの苗字はAPOLLONIですから、一番です。 でも、ある生徒さんが何かの事情があって早く済ませなければいけないということで、2番になりました。 (きっとバカンスへ出発するのだろうと私は内心思っています。)
さて、教室に全科目の教授陣が並び、生徒は廊下で待機し、一人ずつ教室へ入っていきます。 このとき、試験を受ける生徒のほかに、アシストを希望する生徒は入室を許可されます。 これが本当に日本にはないシステムなのではないかと思われるのですが、 受験生のほかにたくさんの生徒が試験の成り行きを見ているのです。 これでは不正などできませんね。 息子の時には全員が入ってきたそうです。 「緊張するかと思ったら、かえって普段の授業みたいでリラックスできたよ。」 ということで、まだはっきりと結果がでたわけではありませんが、 あるイタリアの作家についてのコメントに詰まったほかは全てOKだったということで、 本人は卒業できたものと考えています。 まだ、「T」で苗字が始まる生徒さんなんかは28日に試験があるそうで、 結果を見るのは今月の終わりか来月の初めになりそうですが、 息子はやれやれと夏休みを謳歌しています。 Keiko |