タイトル


高校一年生

 


イタリアの学校には入学式もなければ卒業式も、
始業式や学園祭も何もないということをこれまでにもお話ししてきたかと思いますが、
中学の最後などは本当に寂しい限りでした。

誰かが全員揃って一緒にピッツァでも食べに行こうかと言い出したので、
うちは賛成したのですが、どうやらお流れになったようです。

われわれの子供の頃はサインブックを持って走り回り、
緊張した面持ちで卒業証書を受け取ったものですが・・・

 

夏休みに入って1ヶ月近くたった日に試験結果の発表があるというので
(この知らせも人づてに聞いたものです。)
息子ともども学校へ行ってみると、ビデラと呼ばれる用務員さんたちが入り口付近で
やってくる人に卒業証書に当たる用紙を手渡してくれ、試験の結果は掲示板に張り出されていました。

そのとき高校へ提出する書類を手渡されたので、
すぐ近くの高校へその足で出かけていきました。

高校の秘書室でその書類を手渡し、
学校からは教育費の振込用紙をわたされ、その時に
「9月に入ったらインターネットを見ていてください。
サイトの中で新入生のクラスわけの日にちを案内しますから。」ということでした。

少なくとも片っ端から電話をかけてそういう情報を入手する必要はなさそうです。
そのクラスわけは、くじによるということでした。

息子が行く高校は理数系の学校で、クラスによってはコンピューターの使い方(ソフト面)
などを実践に役立つように勉強するクラスや、第二外国語をとるクラスや
宗教が入っているクラスなどいろいろあるのですが、

そんな中で、一番日本風に言う普通高校色の強いクラスが4クラスできるということで、
ほかのクラスは人員が20名に満たない程度の人数で、
希望したクラスで決まりなのですが、普通クラスの希望者が多いので、
父兄立会いの下でくじ引きをして決めるということでした。

ついでながらこちらの高校には普通高校と言うのはありません。
少なくとも理数系か文科系(言語系?)に分かれていますし、
電気関係の技師を養成する学校や、美術を専攻する高校もあります。

最近は大学へ進学する子供が増えてきたので、
高校では一般的な学科を勉強するところが増えてきました。
それでも上で述べたように、クラスごとに特色があるのです。
 


そして今朝、何気なく息子が高校のサイトを覗いてみると、まさに今日がその抽選日でした。
11時半に始まるというのにわれわれが見たのはすでに12時20分。

すぐに車を飛ばして駆けつけましたが、すでに抽選は終わっていました。
別に抽選に立ち会いたかったわけではありません。
でも、誰と同じクラスになるのか、息子はその辺が気になっていたようです。

着いたときにはすでに大方の人は引き上げた後でした。
でも、抽選結果がどこかに張り出されているだろうからと秘書室へ入っていったのですが、
まだ結果はでていないとの事でした。

おかしいですね。
くじ引きで決めるはずだったらそのくじが終わった時点で結果が発表になってていいはずです。

ちょうど出会ったかつてのご近所の家族も息子さんが同い年なので一緒にいたのですが、
そこのご主人の話では、おそらく誰かがクラスを変えてくれるように
掛け合っているからだろうということでした。

???

私には理解しがたいことです。
だったらくじ引きには何の意味があるのでしょうか?

クラスを変えて欲しい人というのは、
おそらくすでに兄弟か親戚の子が同じ学校へ行っていたので、教科書を持っている。
こちらは同じ学校でもクラスによって使う教科書が違います。

何万円もの教科書代を少しでも軽減するために、
同じ教科書を使うクラスにして欲しいと思うのは人情かもしれませんね。

あるいは、どうしても同じクラスになりたくない子と一緒になったので変えて欲しい・・・
モンテギューとキャピュレットのようなエピソードがまだあるのかしら。

とにかく、こんなことは日本では考えられないというと、普段はいたって日本びいきの息子が
「この点ではイタリアのほうがいいと思うよ。だってもっと人間的でしょ。」

そこなんですね。イタリアのいいところは。

われわれは公私の区別をはっきりしてしまい、己を殺すことをやむ終えないと思っていますが、
イタリア人はできる範囲でなら話し合って、協調して
できるだけみんなが快適に暮らせるようにしようと努力する人達なのではないかと思います。

ということで、まだ息子はどのクラスなのかわかりません。
クラスがわかり次第、また教科書を買うために本屋さんへ日参しなければなりません。

学校は9月15日に始まるということです。

さて、今年は高校1年生。少しは勉強してくれるでしょうか。

Keiko